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山田啓貴

山田啓貴

北海道出身

2004
多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程修了
2002
多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2012-2018
多摩美術大学にて非常勤講師

アーティスト・ステートメント、今回の展示について

西洋絵画の技法を用いて、身の回りの記憶を描いてきました。 いつもの作家たちも同時代の経験から制作してきましたが、日本においての創作活動には季節の移り変わりを感じてゆくことは自然であり、必要不可欠であるとも言えます。個人的な思い出によるところは大きいですが、何月をテーマにした作品化を楽しいんでいただけましたら幸いです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何月?


日本には歳時記がある。七十二候、二十四節気に、四季の差が大きくあり、それぞれに特徴あり、それが日本のいいところだと思っています。私の住む北海道ですらはっきりとそれを感じるが去年は夏は一週間くらいしかなかったですが。夏が弱くなると人間そ随分と気分としては下がり気味で、コロナ感染者が多かったというのも関係ないとは言えないのではないかと思う。


コロナ禍から色々なものが見えてきました。作家にとっては良かったとも言えるほどに、世の中の価値観の変わり様を見てきた。遠出せず、近所ばかりよく見るようになったことは、初めはつまらないものであったが、そこにも面白いものを見つけた。餅屋にある餅が様変わりするのだ。「日本文化はかっこいい!」。正月は鏡餅、鶯餅になり、桜餅に蓬餅、おはぎ、べこ餅が並んだかと思うと水羊羹に変わる。おはぎがもう一回来たと思ったら月見団子に変わる。そんな中、地域によってはさらに色々なものがやって来る。餅屋だけでも、カレンダーができてしまうのだ!と思い、始めたのが「絵に描いた餅」シリーズ。その一端を展示しました。


農作物は北海道の冬は壊滅的だが、それが理由でこれまた色々な地域のものが集まる。季節感が全くないバナナやパイナップル、りんご、みかん。でも、あえてバナナを選んでみた。いつ食べても夏を感じる。北海道ではやっぱり新じゃがが出てくるとやはり嬉しくなるし元気になるし夏の到来を感じる。


日本の秋の果物はやはり豊富だ。


柿を待ち侘びている人も多いし、その干したやつの方がいいという声もある。洋梨はどことなくかっこいい。西洋のジェントルマンを感じる。どうしても男っぽく描きたくなるので、いつも梨ばっかりは陰影の差を強めにして描いている。


今回の展示では、「文化の日」と題したミートコロッケがある。この作品は地元の苫小牧美術博物館とのコラボレーションとも言える。


11月3日には家族で街中の古い洋食屋でお昼を済ませて美術館で絵を見る。という決まりがうちにはあった。個人的な思い出ではあるが、そのエピソードと共に地元の美術館に展示したところ「うちもそうだった。」という声がアンケートに書かれてきたのだ!これは嬉しかった。


近年になってハロウィンは大々的にお祭りムードだが、本来のものじゃなくなっているのも日本の折衷癖。バレンタインもクリスマスも意味が違う。クリスマスにこぞってファーストフードのチキンを食べるところが面白い。


そんな日本の生活は、季節の違いを楽しむことこそがかっこいいのだ。


最後のクリスマスケーキは、昔単なるショートケーキだった気がする。イチゴがのったイチゴケーキ!イコール=クリスマスケーキだ!


我が家だけの出来事だったら申し訳ない。

季節に目を向けていて、次は魚屋に出入りして描こうかなと思ったのだ。


山田啓貴

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