植物に囲まれて育った渡部未乃は、日々見る植物や、出先の自然の風景を好んでモチーフに選びます。彼女の描く直線は特徴があります。デジタル写真で写した有機的なモチーフを鉛筆で写し、繰り返し要素をそぎ落とし、残った無機的な形や直線を
もとに画面を作り上げると彼女は言います。
「自然は曲線を創り、人間は直線を創る」とは、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士の言葉。確かに自然界に直線は存在しません。自然界にある曲線から全ての複雑性を削除し、便宜上作られた人工的な線が直線だからです。しかし、自然界の
要素が残る渡部の描く画面上の直線は有機的で、ユーモアさえ感じます。自然破壊が問題になっている今、自然がいかに私たちの心を癒してくれるかを改めて伝えてくれるようです。
作家のインタビュー記事はArticleに掲載してます。