私達の普段何気なく行なっている「ものを見る」という行為には、まだまだ多分に可能性と制限が含まれていると思っています。見ている対象は変わっていなくても、情報を受け取る側のその時のマインドや見方、それを見ている時の状況や立ち位置によって受け取る情報に差異が生まれてくるように、ある種のパラダイムシフトが起こることで、ものの見え方が一変するような「何をどう見るか?」というものの捉え方によって見え方が変わることに興味を持ち制作をしています。
今回の展示ではしばしば『平面』と呼ばれる絵画にも、まるで織物のように塗りこまれた絵の具の物理的な重なりがあり、そこにフォーカスすることで私達が知っているものとはまた違ったイメージとして見えてくるような、知っていると思っているものがフィルターを通して変容していく絵画そのものやその構造について。3次元の世界に生きている僕たちが2次元の絵を描くことや、ヒューマンサイズからみた絵画の印象など当たり前のことと思っているイメージの見方や捉え方、受け取り方について考察し、制作しています。
お花や花壇といった身近なモチーフから絵画の点描技法やディッピングなど、絵の具の重なり(Overlap of paint)という見方を通して変容するイメージを楽しんで頂けたらと思います。