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期間:5月18日(火)〜7月26日(月)予定
Out of the Blue
第15回ART PLATFORM TOKYO主催@ANA InterContinental Tokyoは、牧田愛/門田光雅の二人展‘Out of the Blue’をお届けします。
牧田愛は2018年に行われた第3回ART PLATFORM TOKYO主催@ANA InterContinental Tokyoで内外のアートファンを魅了しました。今回は彼女の待望の2回目の二人展です。今展示の後には、NY(mh PROJECT)での初の個展が待っています。
牧田は動力のある機械、エンジンのパーツ、金属楽器等、光が反射する人工的なモチーフを、いかにも生きて動いているが如く、流動的に、またダイナミックに描きます。イメージを作るために、彼女はまずパソコンで画像を組み合わせてデジタルイメージを作成し、それを筆で丁寧にキャンバスに落とし込みます。そうすることにより、彼女はよりフィジカルで人間的なモチーフに近づいたイメージを作ります。 もともと機械や金属パーツは人間が作ったもの。機械と人間、無機的なものと有機的なもの、この境界線が、AIが発達してきた昨今、急激に曖昧になってきたと言います。時代とともにこの境界線は絶えずアップデートされ、その都度、人間は立ち位置を問われます。彼女の描こうとしているのは、人間が生きている現代社会を単に写実的に表現することではなく、全く違う素材で想起されるデジタルとフィジカルのパラレルワールドではないでしょうか。
門田光雅も、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のヤング・パトロン・プログラムに招聘されて2019年リンカーンセンターで個展を開くなど海外でも評価されている作家です。
門田の流れるような色彩を織り込んだ作品は、フィレンツェのマーブル紙を想起させます。その色彩の楽曲の中で、時には笑い声が満ちたハーモニー、また時には不協和音も聞こえてきます。彼は幼い頃から多動の傾向があり、また複雑な家庭環境下にあったせいか、いつも肯定と否定の間で揺らぐ感覚があったと言います。彼が静岡の海を見て育った原体験も重なり、作品の根底に「波の揺らぎ」を感じます。いつも「自分が何者なのか?」という問いを投げかけながら描く彼の作品ですが、今回は「連続性」が見られます。「昨日」を否定しながら生きる「今日」、そして不安と期待を込めて迎える「明日」。キャンバスのフレームを超えた3連作には彼の家族が投影されていました。若い家族の成長を見ながら、人生とは昨日から明日、過去から未来への連続性の繰り返しで築かれていると、改めて今のコロナの状況下で感じたと言います。
今回の展示「Out of the Blue」で今までになかった意外性や、新しい発見を探していただければ幸甚です。