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EXHIBITIONS

たし算の絵、ひき算の絵

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たし算の絵、ひき算の絵

ARTPLAT主催@ANA インターコンチネンタルホテル東京

期間:2022年8月11日(木)から2022年11月10日(木)まで(予定)

ホテル内1、2、3階のアートギャラリー

ARTPLAT(ART PLATFORM TOKYO)は、山口聡一と片山高志をフィーチャーした二人展「たし算の絵、ひき算の絵」を開催します。

最近、何層にも絵の具を重ねたり、新しい素材を混ぜたり、さらに固めて型取りしたり、斬新的なマチエールの使い方を駆使して新しい絵画のかたちを探求する若い作家が増えています。今回紹介する山口、片山もマチエールへの強いこだわりを見せる世代の作家です。しかし、彼らはマチエールそのものに手を加えることはなく、むしろ、独自の表現方法、技法で絵画を分析・追求します。

色味(いろみ)を作り上げる時、あるいはイメージ通りに描けず画面を塗り直す時、作家はキャンバス上に色彩を塗り重ねることになります。山口聡一の興味は一貫してこの絵の具の重なりです。彼の作品には、重ねることによってできる絵の具の起伏の側面が頻繁に描かれます。キャンバスの上でリズミカルに踊るそのモチーフは、作家の手の動きの跡、筆致のスナップショットです。

今回展示される3階の大作は、スーラに代表される点描画における色彩の重なりや並置をテーマにした力作です。科学的な分析に興味があるからこそ、敢えてコンピューターの力を借りずに、ドローイングでこの複雑な構成を完成する彼の想像力と力量には驚愕を覚えます。

片山高志の制作技法はかなり手が込んでいます。まず、パネルにラッカーを塗り、水性のアクリルガッシュを繰り返し乗せます。それを自ら角材を削って作ったニードルペンで削ったり、一部拭き取ったりして、最後に透明なクリア塗装で仕上げます。独自の技法を使って、人工物と自然の対比や融合をテーマにした作品を、自分の価値観を除去して描きたいと片山は言います。実際、感情や干渉を一切排除するために、彼の作品の多くはモノクロで、筆致も残しません。

感情を煽るような報道が続くこの世の中において、彼が描きたいのは、制作過程や時間を除外した「現象」だと言います。絵の具の重なりという物資的、時間的な証を否定する石板のようなパネルを前に、鑑賞者は一瞬戸惑います。しかし、熟視すると、彼の緻密な作品の中に、現代人の抱える問題のみならず、ユーモアさえも感じることができるでしょう。

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