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2019年7月5日から9月29日
オープニングレセプション
場所:ANAインターコンチネンタルホテル東京3階エレベーターホール
時間:18:30から20:00まで
「花澤洋太の最新作について」
「言葉では表せないコミュニケーションや心の内面を感動的、且つ攻撃的に抵抗感のある画面を創っていきたい」。26年前の個展で、彼が私に語ってくれた言葉だ。そしてこの表現精神が現在にも脈打つことは、作品に接した誰しもが想像に難くない。
彼の「抵抗感」をつかさどる重要な要素が画面の凹凸にある。パネルを整形し、その上から綿布を敢えて襞をつくりながら貼り、その上から彩色が施される。整形されたパネル、襞を寄せた綿布そして、絵具の厚みの相乗効果により画面の至る所が隆起陥没する。それこそがまさに彼の言う「抵抗感」なのだ。
加えて通常、絵画は絵具を「描く」か「塗る」という言い方をするが、花澤の場合は「絵具を置く」という形容が相応しい。それは、大胆にナイフを用いたり筆跡を積極的に利用することによる絵具の厚みが絵肌だけではなく高い発色の獲得にも関係するということだ。それにより表出する有機的な色のリズムは、俯瞰した南仏や南伊ののどかな田園風景或いは絵地図を想起させる。
重厚で力強い、それでいてしなやかな美しさを併せ持つ。
それこそが花澤作品の真骨頂なのだと私は思う。
佐藤美術館 学芸部長 立島 惠